ついつい食べ過ぎちゃう人や肥満傾向の人には【外発反応性】が高いという特徴があります。今回は、この外発反応性を証明した面白い実験を見つけましたのでご紹介したいと思います！

外発反応性とは？

私たちが空腹感を感じて食べ物を摂取するのは、生存するための生理的欲求からくる行動なのですが、実はそれだけではありません。空腹でないにも関わらず、食べ物の見た目や味、香りなどの外的要素から食欲を刺激され、食べ物を摂取する場合があります。

このような非生理的な刺激（外的な要因）から食べ物を摂取することを【摂食行動の外発反応性】と呼びます。

今回は、この外発反応性を証明した面白い実験を見つけましたので、ご自身がこの特徴に当てはまっていないかどうか確認しながら見てみてくださいね！

肥満傾向の人に当てはまる3つの特徴

１　美味しいものはよく食べ、不味いものはほとんど食べない

アメリカの社会心理学者であるニスベット（Ｒ．Ｅ．Ｎｉｓｂｅｔｔ）が1968年に行った実験によると、肥満型の人は痩せ型の人に比べて、おいしいと思った場合には極端に食べ、まずいと思った場合には、極端に少なく食べる傾向があるという結果が出ました。

実験では、被験者を２つのグループに分け、片方のグループには味のよい高級品のアイスクリームが与えられ、片方のグループには安物のアイスクリームにキニン剤という苦味成分を混ぜて不味くしたものを与えたところ、肥満型の人ほど高級アイスクリームと不味い安物のアイスクリームの摂取量に極端な差がみられたのです。

このことから、肥満型の人は味にうるさく、グルメであると判明されました。

そのため、好きなものだけを食べる偏食の人も、肥満予備軍である可能性が高いため注意が必要です！

【参考文献】   https://psycnet.apa.org/record/1969-00235-001

２　見栄えがいい、視覚的刺激の強い食べ物に反応する

1074年にロス（Ｅ．Ａ．Ｒｏｏｓ）が行った実験によると、肥満型の人は痩せ型の人に比べて、よく見えるもの、見栄えがよいものの方をよく食べ、視覚的刺激の強いものに敏感に反応するという結果が出ました。

実験では、肥満型の人と標準体重の人の被験者がナッツをどれくらい食べるかを調べたもので、片方のナッツはナッツがよく見えるように明るいライトを当て、もう片方のナッツのライトは暗くしました。すると、標準体重の人はどちらのナッツでも食べる量に大きな変化がなかったものの、肥満型の人は明るいライトを当てたナッツを暗く見えるナッツの2倍も多く食べたそうです。

このことから、肥満型の人は美味しそうに見える、見栄えのよいものに敏感に反応することが分かりました。

SNSやテレビなどで、映える食べ物の映像や画像を見ただけでも食欲が湧いてきちゃうなんて人は要注意ですね！

【参考文献】　http://www.ipc.hokusei.ac.jp/~z00105/_kamoku/kiso/99/nakazawa.html

３　昼食時や夕食時など特定の時刻になると、満腹でも空腹感を感じやすい

アメリカ心理学者のシャクターとグロス（Ｓ.Ｓｃｈａｃｈｔｅｒ＆Ｌ.Ｐ.Ｇｒｏｓｓ）が1968年に行った実験によると、肥満型の人ほど生理的な空腹感ではなく、時刻などの外発的刺激により食欲を促進したという結果が出ました。

実験では、肥満型の人と標準体重の人を一人ずつ窓のない部屋に入ってもらい、時刻を操作した時計を仕掛けました。テストの記入をしながらクラッカーを食べることを促した結果、夕食時間だと思いクラッカーを食べることを抑制した標準体型の人に対し、夕食時間という外発的刺激を受けた肥満型の人はより摂食を促進させてしまったという結果が出ました。

よって、肥満型の人は生理的な空腹感などの内発的刺激よりも時刻などの外発的刺激に反応しやすいことが判明されました。

遅めの昼食を食べたあと、夕食は食べられないだろうなーと思いつつも、夕食時刻になるとお腹が空いてくる感覚になったことのある方は、外発反応性が高いと言えますね！

【参考文献】　https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/5725908/

まとめ

いかがだったでしょうか？

「全部当てはまる・・・！」とドキッとした方もいらっしゃるのではないでしょうか？

分かります、筆者もその一人です。

大なり小なり、みんなに当てはまりそうな気もしますが、食欲について心理学的に実験されているのを知るのは面白いですね！

今度、同じようなシーンに遭遇したら「あぁ、この空腹感は外発反応性なだけ。本当に空腹になるまで待つべし。」と自らを律する決意をした筆者なのでした。